キャンピングカーの電源で在宅医療の機器は動くのか

こんにちは! 聖マリア病院、新生児部長、前野です。

いよいよ第1回目の実験。

202011月某日晴天の暖かい晩秋。自分のキャンピングカーに在宅医療機器を積み込んで実験をしてみた。機器の業者さん、お二人が到着し、3人で準備。


ちなみに前回のブログで書いたように在宅医療機器は、家庭のコンセント以外の電源での使用は保証されていない。なので、メーカーにお願いして、今回の実験、許可をもらった上で。

 

使う在宅医療機器

繋ぐのは、人工呼吸器、加湿器、酸素濃縮機、経皮酸素濃度モニター、経腸栄養ポンプ。




一時的に使うものは、吸引機など他にもあるが、持続的に使用するものとしては、一般的には、この5個か、ということで選択。

 

 

キャンピングカーは、バンテック社製「コルドリーブス」

キャブコン、と呼ばれる、典型的なキャンピングカー。



電源は、普段通りの家庭用のコンセントになっていて、これに差し込めば、一般的な電化製品は使えるようになっている。

そして、多くのキャンピングカーと同じように、今、どれぐらいの電力が消費されているのか、バッテリーには電気がどれぐらい残っているのか、などが表示されるようになっている。

 

電源、少し詳しく言うと、

キャンピングカーには、メインバッテリーとサブバッテリーが付いている。メインバッテリーは車を動かすためのバッテリー。普通の車と一緒。これとは別にサブバッテリーがあって、これは、車の中で、日常生活をするための電源として使うためのバッテリー。車のエンジンをかけたり走らせたりすると、自動的に、メインバッテリーとサブバッテリーが充電できるようになっている。

サブバッテリーは、このサイズのキャンピングカーでは、一般的な鉛バッテリーが3つ、のトリプルバッテリー。



これにはインバーターが付いていて、正弦波の電気にしてある。

正弦波の電気は家庭用のコンセントに来ている電気の形。なので、一般の電化製品を普通にコンセントに差し込めば使えるようになっている。(バッテリーは、電池と同じでプラスとマイナスがある。これはコンセントにくる電気とは違う種類の電気なので、そのままでは家庭の電化製品は使えない)。

それと、インバーターにも容量があって、これが足りないと、一度にたくさんの電気は使えない。

いよいよ実験開始

まずは、在宅の機器をキャンピングカーに積み込んでみた。



テーブルがあったところを折りたたんでスペースを確保。

人工呼吸器と加湿器を取り付けた台車を設置

酸素濃縮機はそのまま床に。酸素濃度モニターは座席に。

スペース的には余裕。

使い慣れれば、台車なくても良いだろうから、テーブルも特に外さなくても全部置けるし、普通に生活はできそう。


まずはエンジンを止めた状態

サブバッテリーの電源だけで、在宅機器は動くのか。

最初、加湿器の温度を上げたり、機器を起動するため、電気消費量が多い。

これが足りないと、機器が起動しない。

ドキドキしながら、3人で、機器を見つめる。

きちんと立ち上がった!。作動している。

使用電力は30A。かなり多いが、機器は順調に作動している。

しばらくすると使用電力は低下してきて、12-13Aへ。表示では、このままでも12時間ぐらいはバッテリーが持つとなっている。

 

エンジンを作動して充電開始

ここでエンジンを作動。通常のアイドリング。サブバッテリーへの充電が始まる。

ちなみに、ここが少し問題で、キャンピングカーの種類によっては、充電しながら、同時に電気を使用する、ということができないらしい。今回のコルドリーブスは、これができるようなシステムになっている。

エンジンをかけると、3-4A充電されている。つまり、今まで消費していた12-13Aをまかなって、さらに余っている電気で、バッテリーを充電している。

ということで、燃料があって、エンジンさえかけておけば、在宅の医療機器は、ずっと動かせる!!

よし!!

 

あと、日常生活の分は、、

キャンピングカーの中で生活しようとなると、電気を使用するのは医療機器だけではない。そこで、持続的に動いている電化製品を動かしてみた。

まずは冷蔵庫をスイッチON

立ち上げで電気はいるのだろうが、それでもバッテリーは充電、の表示。問題なく使えるみたい。

次が、大きなポイント。

クーラー

夏であれば、必需品。これが使えないと、室内で過ごすのは少し厳しい。



最初は、消費量が10Aほど多い。バッテリーが減っていく。しかし安定した温度になると、少しチャージが始まる。外の温度にもよるのだろうが、エンジンをかけていれば、結構クーラーも使えるみたい。

 

エンジンを停止、、

これらの電化製品をつけたままで、エンジンを停止。

一気に電気消費が進む。65Aの表示。2-3時間で、サブバッテリーを使い切るとの表示。

これは持たない、、。

クーラーを停止。日常品は、冷蔵庫のみ。

20A使用の表示。これなら8時間ぐらいはもつ。

 

結果

まず大きな収穫。

キャンピングカーの電源で、在宅の医療機器は、きちんと起動して、作動する!使える!

エンジンをかければ、継続的に機器は作動させられる。

エンジンを止めても、8-12時間ぐらいは、作動する。

 

日常品も冷蔵庫ぐらいなら大丈夫だが、夏にクーラーが必要となると、足りない。

日陰に止めて、窓を全開(網戸はあるので)にして扇風機など、他の方法で暑さをしのぐしかないか。

 

大きな一歩を踏み出した一日となりました。

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