こんにちは! 聖マリア病院、新生児部長、前野です。
前回、赤ちゃんの黄疸の原因は治療について、説明しました。
今回は、お家での注意点です。
4-5日で産院を退院してお家に帰るとき、まだ黄疸が残っていることも多いです。
「このまま帰って大丈夫かな?」と心配になる方もいらっしゃると思います。
そのまま様子を見ていて、大丈夫なの?
普通は、大丈夫です。
自然に下がってきます。うんちにしっかり捨てられるようになってきます。
(いくつかある注意点については、後で説明していきます。)
なぜ、大丈夫?
産院では、定期的に黄色い成分(ビリルビン)の濃度を測定してくれています。
皮膚の黄色味を測る機械や、血液検査で測定しています。
もし、ある程度以上濃度が高くて、その先、測定値が20を超えてくる可能性があるということであれば、注意して経過を見る計画を立ててくれます。
特に、注意を言われないで退院しているのならば、黄疸は十分軽い、ということなので、心配はいりません。
黄疸が強くなって来ているかも、、
もし、退院してからも黄色が強くなって来ているかも(普通は一旦下がり始めるとあとは大丈夫ですが、まれにその後また黄色味が強くなることがあります)ということで心配な時には、遠慮なく、お産をした産院に相談すると良いでしょう。
慣れた助産師さんは、色を見て、正常程度か、強すぎるか、判断してくれます。
もし、助産師さんが気になるほど黄色ければ、計測をしてくれると思います。
お家では、明るいところに。
ある程度黄色いままで帰宅するとき、お家でも窓際などの明るいところに赤ちゃんを寝かせるようにすれば、黄疸は下りやすくなります。(なぜ下がりやすくなるかは、前のブログ記事を参考にして下さい)
ただし、直射日光はいけません。レースのカーテン越しなどにもする必要はありません。
部屋の奥、暗―いところよりも、
窓に近い明るいところに寝かせる、ということで十分です。
母乳を飲んでいると、黄疸が長めに続きます。
母乳は肝臓で、ビリルビンをうんちに出せるような形に処理する、と言うスピードを遅くすることがあります。そのため、母乳栄養のお子さんでは、黄疸が長く残りやすいです。
ただし、これは特に悪いことではありません。黄疸には、赤ちゃんの身を守る作用があるのではないか、という考え方もあるぐらいです。高過ぎない黄疸は、まったく心配する必要はありません。
そして、母乳栄養が原因で、ビリルビンが25や30などという、後遺症を残すほど高くなることは、まずありません。
ただし、ビリルビンが20を超えてくると、私たち医者も本当にこれ以上、上がらないか不安になって来ます。あるいは、肝臓の病気などが実はあるのではないか、などとも考えることもあります。
そのときは、「一時期、人工ミルクに変えてみましょう、」ということをお話しすることもあります。母乳が原因の黄疸ならば、人工ミルクにすると、2-3日で一気に黄色味が軽くなって来ます。そうすれば、また母乳を開始できます。一度、こうして下げると、その後母乳にもどしても、黄疸は強くなってこないことがほとんどです。
こんな時には注意を
あかちゃんの黄疸は、ほとんどの時は一時的なもので、自然に回復する正常の黄疸なのですが、まれにですが肝臓などの病気のこともあります。
ですので、下に書いているような時には、詳しい検査が必要なことがあります。
一度、お産をした産院、あるいは小児科を受診してください。
1。1ヶ月以上続くとき。
正常な黄疸でも1ヶ月以上続くことは、よく見かけます。
しかし、肝臓の病気の中には、2ヶ月までには治療を始めないと、治療がだんだん難しくなるようなものもあります。(胆道閉鎖症)。採血検査でこの病気の可能性があると出たときには、その後、確定診断のために色んな検査が必要になって、それには時間がかかるので、1ヶ月の頃には、検査を始めていかなければ、治療を始めたい2ヶ月に間に合わない可能性が出て来ます。
ですので、1ヶ月以上続くときには、そのような特殊な肝臓の病気の可能性はないか、一度チェックをしておく必要があります。可能性のチェックのための検査であれば、専門機関なら、少量の採血だけでほぼ判断できます。
1ヶ月健診の頃にまだ黄疸があるのでは、と思うときには、遠慮なく、そして必ず、健診の時に相談してください。
2。うんちの色の黄色味が薄い時。
うんちの色が薄い時には、肝臓の病気のことがあります。
特に、灰色のうんちが出始めるときには、すぐに、お産した産院に相談してください。
うんちに黄色味はあるが、色が薄い、と言う判断は、母子手帳にカラーの便色カードがありますので、これを参考にしてください。
1-3番のような薄い黄色の時は、すぐに産院に行って、専門の小児科を紹介してもらいましょう。
まれにですが、4番の色でも実は肝臓の病気だった、と言うこともあります。
ですので、4番の色でも、やはり1ヶ月以上黄疸が続くときには、一度、採血検査をして肝臓の病気でないことを確認してもらうとよいでしょう。
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